すっかりソーシャル系作家となったいしたにまさきさん(@masakiishitani)が、先日ソロで書いた本を出版されました。「送って下さい。タダで。」と言ったら「嫌です。買いなさい。」と言われたので、しょうがなく発売記念トークイベントに出向いて買ってきました。
技術評論社
売り上げランキング: 730
早速読んでみました。
自分が細々とブログを書いたりTwitterでつぶやいたりしている中で、何となく感じていたことが、110人のブロガーへのアンケートと、それに対するいしたにさんらしい考察で、明らかにされています。
この本のテーマはタイトルの通り「やめないこと」。
僕自身、ブログやTwitterというのは、何かすごい目的があって続けているわけではないんですよね。でも長いこと続いていますし、やめるつもりもありません。
ブログは2004年8月から書いています。いわゆる社長ブログの中でも古い方だと思います。それから4年以上、ほぼ2日に1回のペースで更新を続けています。
企業広報的な意味を込めて始めたこともあり、自分の中で「2日に1回は更新する」とルールを決めて更新し続けています。とはいえ実際は会社のことはそれほど書いていないので、広報的にどれくらい意味があるのかというのは、よく分かりません。
Twitterを始めたのは2007年4月。当時、ネット界隈でTwitterが話題になったこともあり、その頃にアカウントを取得した方は結構います。でも何がおもしろいのか分からなくて全く使わなくなり、2009年のブーム到来の時に再度使い始めた、という方が多いように思います。でも、僕は2007年4月からずっと、細々とつぶやき続けていました。当時はフォロワー数も少なく、大してリプライもなく、何が楽しいのかよく分からない状態でしたが。
でも、ブログでもTwitterでも、自分がやっていることや思っていることを、あまり深く考えずに発信し続けていると、それが思いも掛けない形で自分に返ってくることがあります。それがあるのでやめられないのです。
最近の例を挙げてみます。僕は家で奥さんが作ったご飯を食べるとき、必ずそれをiPhoneで写真に撮ってTwitter、Flickr、Instagramに流しています。人に見せたいということよりも、ライフログ的な感覚です。奧さんが作ってくれた料理の写真をログとして残しておけば、いずれ何かの役に立つかも、役に立たなくても歳を取ってから見直すとおもしろいかも、という程度の意味合いです。
でも、こうしてソーシャルネットワーク上に写真を放流しておくと、その写真を見た方からたまに「おいしそうですね」という反応があります。そして「いつもうまそう!」とか「奧さんの料理、いつも彩りがいいですよね」いう反応をいただくこともあります。続けていると、いつも見て下さっている方々もいるんですよね。最初は驚きました。
そしていただいたコメントは、その都度奥さんに見せています。奥さんは当然すごく喜びます。そしてさらに料理に腕をふるってくれるようになります。奧さんもハッピーで、僕もハッピーです。うれしいことが自分に返ってきたのです。
この料理写真の話はほんの一例ですが、ブログやTwitterを続けていると、こうしたちょっとうれしいことがたくさん起こるようになってきます。そこで大切なのは、やはり続けること、いや、やめないことです。
その他、この本の中で、確かになあ、そうだよなあと思った箇所を抜粋しておきます。
だから、重要なのは数を意識することではなく、1対1で相手に対して価値のある情報を提供できるかどうかなのです。数を意識することは大事ですが、数を目的とすることが誤りであるのは、これが理由です。
ネットでは予定した結果に向けてプランを練って実現していくよりも、まずは行動してしまうことが、ある意味予定していなかった結果に結びつきやすいと言えるのです。
自分の持っているものが、どういう価値を持っているものなのか、どういう意味を持っているものなのか、情報を公開して、そのリターンであるログを得られるまで、結局少なくともネットでは、自分のことを知る術はないのです。
ただ、実は障壁はこれしかないとも言えます。人は自分のことを意外と何も知らないし、これまで知る方法を持ち難かったのが、ネットで壁がひとつ取り払われたのです。結局、自分のことなんて自分で見つけるしかないという原理がネットでも働いていますが、その壁は実社会のそれと比較すれば、かなり低い壁です。
そして、こういったことは、すべてあなたが何らかの形でネットで活動を続けなければ得られません。つまり「やめない」ということです。
・なぜ、プログラマーは無料でソフトを公開するのか?
・なぜ、文章を書くことでご飯を食べている人が、ブログで直接お金にならない文章を書き続けるのか?
・なぜ、映像をYouTubeで公開するのか?それは公開することで、お金以上の何かを公開した人のところに運んでくれるからです。つまり、お金とは違う価値が公開した人にだけもたらされるのです。そして、それが一時的なものではなく、ネットにおけるあなたの価値を向上させてくれたことは、すべてログが教えてくれます。
やめないことの価値は、〈やめない人たち〉自身は非常によく分かっていると思うのですが、そうでない人たちにはピンと来ないのではないかと思います。自分の周囲を見ていてそう思います。
そうした人たちが、この本を読むと、やめないことの価値、発信し続けることの意味を感じ取れるのではないかなあと思います。