先週の4月14日は、さい帯血移植の記念日でした。
第2の誕生日
4年前、2017年のこの日に、僕は急性骨髄性白血病を治すために、さい帯血移植を受けました。
移植患者の間では、移植日は「第2の誕生日」と言われます。
なぜ第2の誕生日なのか?
さい帯血移植とは
さい帯血移植というのは、骨髄移植と同じ造血幹細胞移植の一つです。
骨髄移植の場合、ドナーさんから骨髄を採取して、それを白血病等の患者に移植します。
さい帯血移植は、赤ちゃんが生まれたときのへその緒の中の血液(さい帯血)を採取して、臍帯血バンクに保管しておき、それを患者に移植します。
実際に患者にさい帯血を移植する際には、まず大量の抗がん剤等により、患者の骨髄の中で血液を生み出している造血幹細胞を破壊して、まっさらな状態にします(前処置)。そのとき、血液の中の血球(白血球、赤血球、血小板)も、白血病細胞とともに破壊されます。
その上で、ドナーさんからいただいたさい帯血を移植します。移植といっても手術ではなく、輸血のように点滴(輸注)します。
その移植から何週間かすると、移植したドナーさんの造血幹細胞が、骨髄の中に住み着いて、新しい血液(血球)を作り始めます(生着)。
つまり移植というのは、大雑把に言うと、血液を作る工場を壊して、更地にした上で、そこにドナーさんからもらった工場を建てるというようなことです。
そうすると、体内を流通する血液が、もともとの自分製の血液から、ドナーさん製の血液に変わっていきます。そのドナーさん製の血液が、抗がん剤でも殺しきれなかった白血病細胞を、強力な免疫作用で殺してくれる、というわけです。
造血幹細胞移植で血液型が変わる
このように移植後は、ドナーさん製の血液に置き換わります。だから、ドナーさんと自分の血液型が異なる場合は、ドナーさんの血液型に変わることになります。
たとえば僕はもともとB型だったのですが、ドナーさんの血液型がA型だったので、今はA型です。(まだ完全には置き換わっておらず、A型とB型のミックス状態かもしれません)。
全身を巡る血液が、ドナーさんという別の人の血液に置き換わるというのは、改めて我が事ながらすごいことだなあと思います。
そういう意味でも、移植日は、まさに生まれ変わった日であり、「第2の誕生日」なんだと思っています。
第2の誕生日に思うこと
その第2の誕生日を、今年も4月14日に迎えました。
早いもので4歳になりました。
その日、妻と娘がケーキでお祝いしてくれました。
もちろん、ろうそくは4本です。
そして、さい帯血をいただいたお礼の気持ちを込めて、西の方角に頭を下げました。
僕のさい帯血のドナーさんは、近畿地方の当時1歳のA型の女の子とお母さんです。
残念ながら、さい帯血バンクは、骨髄バンクと同様に、ドナーさんと直接連絡を取ることはできないことになっています。
だから、せめて第2の誕生日の日には、ドナーの女の子とお母さんに感謝の気持ちを込めて、西の方角に頭を下げています。
僕が今日もこうして生きていられるのは、お二人がさい帯血を分けてくださったお陰です。
あの西の空の下のどこかで、5歳の女の子が家族に囲まれて元気に成長していることを、遠く横浜の地から願っています。