先日4月13日（土）に虎の門病院を退院しました。
肺がんの胸腔鏡下手術を受けたのが4月8日（月）ですので、術後5日での退院となります。
しかし自分のことながら、月曜日に手術して土曜日に退院して、すぐに普通の生活に戻れるとは、すごい速さですね。
実はこれでも最速スケジュールよりも1日長くなっており、早い患者さんならさらに1日早く退院できます。僕は術後の検査で、術後合併症としては一番多い肺からの空気の漏れが確認されたため、念の為に1日長く入院して検査をして、空気漏れが止まっていることをしっかり確認してからの退院となりました。それでも十分早いですね。
胸腔鏡下手術後の回復の速さ
このスピード回復を可能にしているのは、1つ目には、片肺あたり3箇所の穴を開けるだけで開胸することのない胸腔鏡下手術の侵襲の少なさ（僕の場合は左右の肺を一度に手術したので合計6箇所の穴）。
そして2つ目には、手術当日の夕飯から病院食を食べ、翌朝から廊下を歩き、その同じ日にもうドレーンの管を抜き、という術後の正常化プロセス（？）の速さ。これも低侵襲手術のなせる技ですね。
手術といえば術後の痛みがつきものですが、今回は術後2〜3日もすれば、脇の下の肋骨のあたりにある手術の傷の痛みは治まってしまいます。現在痛みを感じるのは、布団から体を起こすときに、脇に変な力が入ったときぐらいです。
昨日まではときおり空咳が出て咳き込んだりしていたのですが、今日になってそれも治まってきています。
また術後当初は深い呼吸が少ししにくかったのですが、それも徐々になくなり元に戻ってきました。
本当にどんどん回復し手術前の状態に戻っていきます。入院期間が短いため、体力、筋力の低下も最小限です。
改めて、まだ手術をして1週間しか経っていないことに自分でも驚いています。
前回の記事で書いた術前の藤森先生（呼吸器外科部長）の説明では、僕の場合、術後はリハビリも必要なく、呼吸機能は9割ほどは維持でき、日常生活でも特に息苦しいなどの不都合を感じることもないとのことでしたが、本当にその通りになっています。
また先生は、仕事をしている患者さんの場合、退院の翌日から職場復帰できると言っていて、僕は正直なところ「ホントかな？」と思っていたのですが、実際に手術を受けて退院してきた今、それも現実的に可能だと思います。
今後の見通し
こうして手術を終えて退院してきて、治療はひと段落です。いまのところこれで治療は終了で、化学療法などの追加の治療は必要なさそうです。ただしこれは、最終的には手術で摘出した腫瘍の病理検査の結果で決まることになります。
病理検査の結果が出るのは術後1ヶ月後とのことでしたので5月の外来診察で病理検査の結果を聞くことになります。
入院中の詳しい記録、つまり闘病記については、またおいおい書いていきたいと思います。現在執筆中の2冊目の本にも肺がんの経験は含める予定です。
今回の肺がん治療で直面した新たな課題
今回の入院中も、病気について、人生についてなど、いろいろなことを考えましたが、その中でひときわ大きな課題として浮かび上がってきたのが、「なぜ5回もがんになったのか」ということでした。
これまで5回がんを経験して、乗り越えてきた経験から、「がんは怖い病気ではあるが、とにかく早期発見して素早く適切な治療を受ければ治癒は期待できる、そのために定期的に検査を受けていれば今後も大丈夫」という確信と自信を持っています。
でも、「なぜこれまで5回もがんを繰り返してしまったのか」、という疑問に対して答えが出ないと、「これからの人生で、まだがんを繰り返すことになるかもしれない」という不安を払拭できないと思うようになりました。
つまり、「がんを治せることは分かったが、そもそもがんにならないためにはどうすればいいのかが分からない」ということです。
手術、化学療法、放射線治療などにより、これまで5回のがんを乗り越えてきました。でもそれぞれの治療で、それぞれに体にはダメージがあり、いろいろなものを失ってきました。
脳腫瘍の手術では、視覚を司る視覚野にあった腫瘍を切除したため、視野の左下4分の1を失ってしまいました。
悪性リンパ腫の抗がん剤治療では、半年以上にわたる大量化学療法で、体力、筋力を大幅に削られていまだに回復できていなかったり、腫瘍が神経を圧迫していた関係で左足全体に痺れや痛みが残っていたりします。
急性骨髄性白血病のさい帯血移植では、GVHDで肝臓に良性腫瘍が多発し肝機能に障害が起き、そこから食道静脈瘤や肝臓門脈血栓を発症しています。さらに骨密度が低下し腰椎を圧迫骨折したり、免疫力低下ですぐに感染症で熱を出したりもしています。
大腸がんでは直腸を20センチほど切除し、肺がんでは左右の肺の一部を切除しています。
こんなことをこれからも繰り返していったら、体の機能はどんどん削られていってしまいます。
そろそろ歯止めをかけなければならない。そのためにはどうしたらいいのか。
そんなことを今、かんがえています。
そうしたこともまたブログで書いていければと思っています。
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