佐藤琢磨に見る人間の「伸びしろ」

昨日のF1鈴鹿グランプリ。
佐藤琢磨、惜しかったですね。
シューマッハ兄弟、同僚のバトンに次いでの4位フィニッシュ。
表彰台にはあと一歩届かず。
スカパー!で生中継を見ていたのですが、見終わって、いろいろなことを考えました。
最初は、


「もし序盤でバトンが琢磨を先に行かせていれば・・・」
「もしチーム戦略上、琢磨が2ストップでバトンが3ストップだったら・・・」(バトンと琢磨でピットストップ戦略を変えたのは、タイヤ選択のリスクをチームとしてヘッジするためだったようですね)
「もし琢磨の右肩の痛みが再発せず、終盤もドライビングに集中できていたら・・・」
などということを考えていたのですが、すべて「たられば」の話。
だけど、改めて冷静に考えてみると、レースを通じて、彼より前にいたのは、シューマッハ兄弟と同じBARホンダのバトンのみなんですよね。
他のそうそうたるチーム、ドライバーは、みんな琢磨より後ろ。
フェラーリのバリチェロもそうですし(途中でリタイヤしてしまいましたが)、調子を上げてきているマクラーレンも、また直接のライバル、ルノーも、またウィリアムズのモントーヤも、みんな琢磨の後ろ。
シューマッハ弟はちょっと誤算でしたが、彼以外に前にいたのは、シューマッハ兄と、同じチームのバトンのみ。
シューマッハ兄はしょうがないとして、あとバトンとの違いは、今回に関してはピットストップ戦略の違いが、一番大きかったはず。
そう考えると、すでに彼は、本当にハイレベルな領域に到達してきていますよね。
鈴木亜久里が14年前の鈴鹿で日本人で初めて表彰台に登ったのは、かなりラッキー要素が多かったはず。(あれも学生時代、テレビで見ていました)
しかし、琢磨は、すでに今期、アメリカGPで表彰台に登り、何度も入賞。
そして非常に大きな期待とプレッシャーのかかる鈴鹿で、ミスもなく、無理なドライビングもせず(レース展開上、無理なオーバーテイクをする場面がなかったこともありますが)、痛みに耐えて、4位フィニッシュ。
また、琢磨だけではありません。
シーズン当初のようなマシントラブル(エンジントラブル)もなく、ピット作業も安定しているところを見ると、マシンの信頼性やチーム力も上がってきているように思います。
もちろん表彰台に登れなかったこと自体は残念だったのですが、こういう環境で琢磨が4位でフィニッシュできたことは、本当に今後につながるのではと思います。
琢磨は来期もBARホンダです。
チームメイトが誰になるのか分かりませんが、実際は、きっと琢磨がナンバー1ドライバーですよね。
本当に、いずれ表彰台の真ん中に立つことを期待してしまいます。
そこで考えました。
琢磨はこれまでの日本人ドライバーや、他の現役ドライバーと、何が違うのか?
それは、「伸びしろ」の大きさではないでしょうか?
F1ドライバーの多くは、幼少期からレーシングカートに乗り、下のクラスのレースを勝ち上がってF1に到達してきています。20年近くのレース経験を持っているわけです。セナもそうですね。
しかし、琢磨は違います。
レースに興味がありながらも、直接車に乗る機会もないため、学生時代は自転車競技をしていました。
そして早稲田大学在学中に、鈴鹿のレーシングスクールに年齢制限を押して無理矢理入学し、それから何と5年でF1に到達しました。
5年という年月は、小学校より短い。その短期間で、入門生から世界のトップに到達したわけです。
つまり、「いっぱいいっぱい」でF1に来たのとは少し違うわけですね。
彼は、他のドライバーが「時間」をかけて蓄積してきたレーシングドライバーとしてのスキルを、自分なりの頭の使い方や工夫により、5年という短いレース経験の中で、身に付けてきたわけです。
つまり、「学ぶ力」が非常に高い。
同じことを学ぶのに、彼の場合は他の人と比べて、それほど時間がかからない。
だから、まだまだ伸びる可能性が高い、「伸びしろ」が大きい、というわけです。
一戦一戦のレースを見ていても、また彼のインタビューや書いていることを聞いたり読んだりしていても、それが非常に感じられます。
そして、彼の英語によるコミュニケーションスキルが、その学ぶ力の大きな支えになっているような気がします。
チームスタッフとのコミュニケーションを重ね、少しでも車を、チームを、そして自分自身のスキルを向上させていくわけですね。
そして彼のそうした姿勢により、チームスタッフも「彼を優勝させたい!」と本気でバックアップしてくれるわけです。
彼は本気で「F1ワールドチャンピオン」になることを目標にしています。
もちろんその明確な目標設定も、彼の強さの一要素ですが、その目標を実現するための「学ぶ力」が、彼のもう一つの強みなのではないでしょうか。
そんなことを考えた、F1鈴鹿グランプリでした。
最後に・・・先日見た琢磨の特集番組。
彼はF1ドライバーになってからも、シンプルな生活を心掛けているという。
それにしても、なぜ彼のマイカーが、大人が3人乗ると沈んでしまうようなminiなんでしょうか???
ホンダさん、NSXの一台でも、提供してあげては?

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「佐藤琢磨に見る人間の「伸びしろ」」への1件のフィードバック

  1. 笠江友和さん、コメントありがとうございます!
    笠江さんのWebサイト、拝見しました。
    すごいですね、エンジニアとして働きながらフォーミュラマシンを運転されているんですね。
    この週末に、従兄弟の結婚式のために長野から出てきた、レース好きの姉に話したら、「えー、長野にも、そんな人がいるんだー」と驚いていました。
    ぜひ、目標達成に向けて、がんばってください!!!

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