パルコ松本さんに聞く、ナレッジマネジメントの本当の成果。

matsumoto-san.jpg昨日の午前中は、当社の大切なお客様である、パルコさんを訪問。
ナレッジマネジメント担当の松本さんに、当社のイベントでナレッジマネジメントの事例講演をお願いしているのですが、その内容についての打ち合わせでした。
(めずらしい東横線の人身事故のため、1時間ほど時間をずらして頂きましたが・・・)
松本さんには、以前から、当社の販売する文書公開システムNet-It Centralの導入事例などで大変お世話になっており、何度も同社のナレッジマネジメントについてお話をお伺いしているのですが、いやはや、今回も、非常に参考になるお話をお聞きできました。
ということで、今日は、このブログでは久し振りに、まじめなナレッジマネジメントのお話。
同社の詳しいナレッジマネジメント事例はこちらのページを見て頂くとしまして、今日は、新たな気付きを得られた松本さんの言葉を、ざっとメモしておきたいと思います。

パルコという会社は、テナントビルの運営だけではなく、出版や劇場運営などなど、いろいろな事業をしていて、いろいろな文化が混在している。それぞれの社員は、パルコ全体のことを知らなくても、自分の事業については仕事が進められるので、同じ社内なのに、例えばパルコ各店の売上数値を知らない、というような事もあった。というよりも、そもそも、そういう情報が部門を超えて流通していなかった。しかし、P.K. Library(Parco Knowledge Libraryの略。Net-Itによるナレッジ文書共有サイト)の構築により、あなたの部門で共有すべき文書はこれとこれで、それはこの仕組みで簡単に全社的に共有できます、という環境が実現した。それにより、これまでは自分の身の回りの情報ばかりで仕事をしていた人が、他の部門の情報にも容易にアクセスできるようになった。他人の持っている情報を積極的に仕事に活用する人が増えて、社内が有機的につながった
マニュアルやテナント折衝レポートなどの文書を共有するNet-Itと、グループウェアのPowerEggを同時に導入した。PowerEggにログインしたユーザは、ログイン後のポータル画面にあるボタンからP.K. Libraryにアクセスできる。双方が一体化したシステムとして使われているため、利用者には非常に分かりやすくなっている。
ナレッジマネジメントのプロジェクトは、社長直轄で、実質自分を含めた二人で進めた。自分は文系で、出版事業などにも携わったが、その後、基幹系システムの担当もしたことがある。その時に、情報システムというのは、ユーザ部門の要望ばかり聞いていると、結局は使えるシステムにはならないということを痛感した。世の中には、ユーザ要望を聞いて膨大なカスタマイズをして構築した割には、形骸化して使われていないシステムが多すぎる。あれもこれもやりたい、というのはシステム開発ではうまくいかない。このシステムではここまでできればよい、というところをいかに見極められるかが重要。今回のナレッジマネジメントの取り組みについては、この経験をもとに、自分自身がユーザの立場で考えると、こんな風になっていれば便利だな、ここまでできれば十分だな、という感覚を大切にして構築した。要望を聞きすぎない、割り切りと妥協が大切。
文書を管理するフォルダ構造などは、Net-Itの場合はファイルサーバのフォルダをそのままいじればいいので、システム部門にお願いしなくても、自分たちでサクサク作ることができた。また、実際に本番稼働した後も、ユーザが自分で、フォルダを作ったりファイルを登録したり削除したりということが簡単にできるので、運用をユーザに任せられる「あとはご自分でどうぞ」と言える。先日お会いした他の会社では、そうしたフォルダ構造の変更などはシステム管理者でしかできないため、運用が大変なようだ。
マニュアルなどについては、紙で店舗に配布していた頃は、どれが最新なのか分からなくなってしまうことがよくあった。P.K.Libraryを見れば、常に最新版がそこにある、と言う状況を作りたかった。P.K.Libraryを構築した結果、どのマニュアルは整備されているが、どのマニュアルが足りない、と言う状況が見えてきた。それによって、マニュアルの整備がどんどん進んだ。今では全社的に何千文書も共有されているが、構築した当初は、まさか何千にも増えるとは思ってもみなかった
情報共有に関しては、他の部門との共有、つまり横の共有だけではなく、縦の共有も意識するように言っている。縦の共有とは、時間軸での共有、つまり、将来の担当者にとって役に立つ情報を、今、残しておこうということ。マニュアルなどのStaticな情報は、最新版だけが共有されていればいいが、テナント折衝レポートなどのDynamicな情報は、過去からの積み重ねが重要。
自分としては、システムを構築するのではなく、システムで仕事の仕方を変えてやろう、という思いでやってきた。そして、ナレッジ共有のシステムを構築したことにより、このシステムを使って、どうやって仕事の仕方を変えるか、ということを考える人が社内で増えてきた。つまり、システムにより人が変わった。本当に何もないところからシステムを構築して、情報が共有できるようになったことで、仕事が変わり、人が変わった。それが大きな成果だと思っている。そして、Net-Itがなければ、ここまで来ることはできなかったと思っている。

ということで、他にも書きたいことはたくさんあるのですが、今日はこのあたりで。
それにしても、本当に、重みのある、参考になるお話がたくさん聞けました。
いつお話を聞いても、必ず、新たな知見が得られます。
企業の現場で日々奮闘されている方の経験は、本当に、違いますね。
本当に勉強になりました。
松本さん、本当に、ありがとうございました!
◆今日のBGM◆
朝、パルコさんに急ぐ電車の中で久し振りに聞いたのが、これ。
Takin’ Off by Herbie Hancock
で、打ち合わせの後に、松本さんからこう言われてびっくり。
松本さん「高山さん、ブログ見てると、Bill EvansとかKeith Jarrettとかは出てくるけど、Herbie HancockとかChick Coreaは出てこないですね」
高山「ああ、そう言えばそうなんですけど、実際は、Herbie HancockもChick Coreaも聴きますよ。実際、今朝も電車の中でTakin’ Off聴いてきましたし。」
松本さんは、Queenも好きらしい。
しかも僕と同様、カラオケで歌うらしい。
今度、カラオケ行きましょう!>松本さん

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「パルコ松本さんに聞く、ナレッジマネジメントの本当の成果。」への7件のフィードバック

  1. ♪あ〜い わず ぼ〜ん とぅ らぁ〜ぶぅ ゆぅ
    なんかキムタクドラマで有名になったこの曲。これ、世間ではクィーンの曲と誤解している向きもありますが、フレディの1stソロアルバムのシングルカット曲なんですよ!と、当時の30cmマキシシングルを持っているワタクシは一言言わせていただきます。
    それはさておき、この記事の囲み中で何か言っている本人です。見本がないので「見よう見まね」もできず、ひたすら手探りで今に至ったというのがホントのところだと思います。
    お読みになった方にご意見いただけば幸いです。
    しかし、こんなに書いていただいたら、カンファレンスの時のネタがなくなってしまいますー(汗>高山さん

  2. 松本さん!
    ご本人からのコメント、ありがとうございました!
    I was born to love you、お持ちなんですね、すばらしい!
    しかし手探りでここまでのナレッジ共有の仕組み(システム・業務含めて)を作り上げてきたのは、本当に素晴らしいと、いつも思っております。
    カンファレンスのネタ・・・確かに。済みません!
    とは言いつつも、ここに書かせて頂いたことも含めて、思うままにお話頂ければ、それだけで十分すばらしい講演になると思いますよ!

  3. あけましておめでとうございます。
    カラオケでQueenを歌うのはうちの会社の社長だけだと思っていました。松本さん、すてきですね。
    私の今年のテーマ曲はoasisの「Live Forever」でがんばりたいと思います。今年もよろしくお願いしまーす。

  4. おー、オーシャンブリッジスタッフのYさん、新年早々のコメントをありがとう。
    高山です。
    毎年恒例のテーマ曲っすね。「Live Forever」と聞いて、Sarah Brightmanもカバーしている、Brian May作のQueenの曲を思い出してしまったんですが、そっちは正しくは「WHO WANTS TO LIVE FOREVER」でした。
    まあそれはそれとして。
    今年もよろしく!

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