【上海シリーズ】帰途にいろいろと思索した。

ということで、今日は早めに起きて、帰国の準備をする。
うーん、水がうまい（←二日酔い）。
リアルコム谷本さんとロビーで待ち合わせ、リムジンで空港へ。朝飯を食べていないこともあり、車中、何となく空腹を感じる。カツカレーじゃなくて、ラーメンが食べたい。たった数日の中国滞在だったが、味覚も中国に同化してきているようだ（←単なる二日酔い）。
空港で、いろいろとおみやげを買う。特にうちの会社のみんなへの分をどうしようかといろいろと考えるが、結局、あやしい笑顔のパンダのパッケージに目を奪われ、思わず、

パンダ印のクッキーとチョコを買ってしまった。単にパンダの形をしたただけの、味は普通の（というより恐らくあまりおいしくない）クッキーとチョコ。やばい。うちのスタッフの苦い顔が眼に浮かぶ。若干の後悔を感じるが、まあ、買ってしまったものは仕方がない。せっかく実りの多い出張だったし、小さな過ちは忘れよう。過去は振り返らないってことだ。
搭乗ゲートを探すと、他の便と異なり、なぜか階段の下にゲートがある。「なんだ、今回の航空会社、中国系なのに中国の空港でもマイナーなのか」と思っているうちに、バスに乗せられる。やっぱり機体も辺鄙なところに停めてあるらしい。
それにしても、どこまで行ってもバスは止まらない。「まさか、前の便がまた遅れたからとか言って、このままバスで海を渡るつもりじゃないだろうな。もしそうであれば、日本に上陸するのは位置関係から言って九州だな。であれば、せっかくなので宮崎に寄っていくか」とか妄想し始めた頃、やっと機体のあるところに到着。
飛行機に搭乗すると、お約束のセキュリティインストラクションのビデオに、元天才卓球少女、現天才卓球婦人の愛ちゃん（not元AV女優、not天才チンパンジー）に似た女優が、スチュワーデス役として出演している。なるほど、中国では愛ちゃん似の女性が人気があるということか。ルーシー・リューに代わって愛ちゃんがチャーリーズエンジェルに登場するのもそう遠い話ではなさそうだな。敵を倒すとあの激しいかけ声が出たりして。そう言えば、日本では特異に見られていた愛ちゃんのあのかけ声、現在転戦している母国中国では当たり前なのだろうか。
そんなことを考えているうちに（まああのビデオを見てそんなことを考えるのも僕くらいだろう）、愛想の悪いスチュワーデスさんが飲み物を配りに来る。前の席に座っている、負け犬OL上海グルメ4日間の旅のツアー客と思われる3人の女性たちは、昼間だって言うのに、ビールやら白ワインやらを頼んでいる。そんな彼女たちを尻目に、僕は迷わずオレンジジュースをオーダー。健康第一である（←単なる二日酔い）。
その後、周ってきた愛想の悪いスチュワーデスさんに、お約束の「ビーフ、オア、チキン？」と聞かれて、「ラーメンと半ライス」と言ったら嫌な顔をされたので、「じゃあ、ビーフとチキンのうち、まずくない方」と言ったら、今度は無視されて、チキンが出てきた。しかもかなりまずい。なかなか日常生活の中では出会えない種類のまずさだ。彼女のご機嫌を損ねたので、まずい方が出てきたようだ。きっとビーフはものすごくおいしかったに違いない。でも、過去は振り返らないことにしたばかりなので忘れよう。（一部嘘を含む）
その後、機内放送をボーッと見ていると、中国の芸能番組が始まった。磯野貴理子と原田知世と長谷川理恵を足して3.14159265358979で割ったような（つまり3人の平均よりちょっとだけ薄めの）女性歌手が歌っている。なかなか綺麗だ。もしかすると、次のチャーリーズエンジェルは磯野貴理子と原田知世と長谷川理恵と愛ちゃんかも知れない。みんな年齢的にも近いし。人数が一人多い気もするが、まあ4で割って3をかければ特に問題はないだろう。いや待てよ。今のキャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リューに比べると、このメンツだとちょっとインパクトが薄いな。3じゃなくて3.14159265358979をかけるくらいでちょうどいいだろう。
そんなことを思索しているうちに（まあ空の上ででこんなことを考えているのも僕くらいだろう）、成田に到着。そこで驚いた。前の席に座っていた、負け犬OL上海グルメ4日間の旅のツアー客と思われる3人の女性たちが、全員、別人に変わっている。あれ、おかしいな、と思ったが、そう言えば、到着前、携帯でゲームをしていた一人が、スチュワーデスさんに「携帯の電源を切りなさい」と注意された後あたりから、席でそわそわと化粧をしていたようだ。
でもこれ、化粧と言うよりは、変装もしくは特殊メイクである。無かったはずの眉毛は、まるで手で描いたかのようにスパッとできあがってるし、ご病気ですかって感じの顔色は、取って付けたように赤い唇を中心に、人工的なくらいはっきりした顔になってるし。すごい変わりよう。すごいメイキャップスキルだ。これだけのスキルを持っているのであれば、上海なんかに行ってないで、さっさとハリウッドに行けばいいのではないか。ミッション・インポッシブルの次回作あたりで、日本の特殊メイク技術をぜひ世界に知らしめて欲しいところだ。
それに比べて僕の隣の席の中国人女性は、服装はジーンズにTシャツ、化粧もナチュラルで、非常に感じがいい。さすが中国人女性、控えめながらも、センスがいいのが分かる。前の席にいる日本のOLにも少しは見習って欲しいところだ。この女性とはなかなか話すきっかけがなかったが、最後に飛行機を降りる時、「このバッグ、下ろしましょうか？」と英語で声をかけたら、「ありがとうございます、すみません」と流ちょうな日本語が帰ってきた。どうやら、日本語が日本人並みに堪能な中国人のようだ。
それにしても、さっきのOL3人組、どうせ飛行機を降りたら家に帰るだけだろうに、なんでバッチリ変装もとい特殊メイクもとい化粧なんぞしているんだろう、と思っていたが、入国審査の列に並んでいるときにハタと気付いた。そうだ、オリジナルの顔のままだと、入国審査が通らないんだ。パスポートの写真と別人ってことで。なるほど、だから飛行機を降りる前に化粧をしたんだな。すごい先見性。それだけの先見性があるのであれば、上海なんかに行ってないで、さっさとハリウ（略）
と言うことで、荷物もピックアップして、タイミングよく横浜行きのリムジンバスに乗り込む。そう言えば、朝から腹が減っているが、スチュワーデスさんのご機嫌を損ねたため、まともに昼飯も食べていない。
考えてみると、今回の出張では、上海に着いてからずっとホテルに缶詰めで、朝食から夕食までずっと参加者と一緒にホテルのビュッフェの料理ばかり食べていた。中華料理と言えば、昨日の夕食で、やっと高田さんと谷本さんとで上海家庭料理を食べただけだ。麺を食べるチャンスがなかった。麺を食べたい（←単なる二日酔い）。
そうだ、バスを降りたらラーメン屋に行こう。日本に帰って来てからラーメンを食べるのもなんだが、昔の偉い人は「家に着くまでが遠足だ」と言う名言を残している。それを敷衍すれば「家に着くまでが上海だ」と言うことになろう。家に着くまでにラーメンを食えば、いちおう出張中に食べたことにもなろう。
と言うことで、バスを降りてから、早速ラーメン屋を探す。上海気分のまま、「やばい、中国語で『ラーメン屋さんはどこにありますか？』ってなんて言うんだろう」とか考えているうちに、あっけなくスカイビルの中にラーメン屋を見付ける。中国語を使う最後のチャンスを失ってしまった。まあこれについては、周囲の人々から奇異な眼で見られるリスクを回避できたという見方もできる。
もちろんオーダーはラーメンと半ライス。更に、出張の締めってことで、豪華に味付け玉子もプラス。「いやー、やっぱ中国に出張したらラーメン食べなきゃね」とか思いつつ平らげる。家系ラーメンだってことにはこの際目をつぶる。人間、気の持ちようである。口で「ごちそうさま」、心で「ツァイツェン」とつぶやきつつ、店を出て、帰途に就く。
家までの道のりで考えたが、「家に着くまでが遠足だ」って言うのは、「寄り道せずにまっすぐ帰れよ」ってことだったような気がしてきた。ラーメンなんか食べてないで。ああ、昔の偉い人のお言いつけを破ってしまった。
と言うことで、無事に家に到着。
また改めて、出張での気付き（愛ちゃん人気について等）などはまとめてみたいと思う。

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