ということで、先週、Infinity Ventures Summit 2008 Fall(IVS)に参加してきました。
いろいろなことを感じ、考えた2日間でした。
その感じたこと、考えたことをメモ。
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一つは、会社の中長期的な方向性について。
まずIVS冒頭のセッションで登壇した、TechCrunch50の共同主催者でもあるJason Calacanis氏が、自身のプレゼンテーションの中で、今回の景気悪化とベンチャーへの影響について語っていました。そして夜のパーティでも、知り合いの経営者と、自然とそんな話になりました。
実際、オーシャンブリッジのビジネスでも、某自動車会社さんの商談が、業績悪化に伴うIT投資予算凍結により無期延期となるなど、少しずつ景気悪化の影響が出てきています。そしてその影響は、これから3月末の期末にかけて、そして4月以降も、大きくなっていくと見込まれます。
そうした環境変化を前提としながら、今後も継続的に企業を発展させていくにはどうすべきか。IVSで会った知り合いの経営者からは、選択と集中(事業分野の選択と経営資源の集中投下)、内部体制の強化(コスト削減、組織改編等)など、現在彼らが取り組んでいる施策についての話が聞けました。
そして、オーシャンブリッジとしてはどうすべきか。一つは、単発案件による売上に依存したビジネスだけではなく、継続的に売上が上がるビジネスを強化すること。早速この観点で、国内外でいくつかアクションを起こしています。そしておもしろいことに、思った以上のペースでその話が具体化していきそうです(さすがアメリカのベンチャー経営者は動きが早い!)。
もう一つは財務体質の強化。景気の波に左右されない財務基盤を構築する必要があります。これはIVSで感じただけではなく、先日、米国のパートナー企業であるInformative Graphics Corp.のCEOのGaryと電話会議をしたときにも感じたこと。我々もしっかり準備しておかねば。
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IVSで感じたことのもう一つは、最先端のテクノロジーが開く新しい世界について。今回のIVSで、自分にとって最もインパクトのあったセッションは、AR(Augmented Reality=拡張現実)をテーマにしたセッション。
VR(Virtual Reality=仮想現実)は、コンピュータの中に仮想的に世界を創り出すもの。具体的な例はSecond Life。そこは現実世界(リアル)とは切り離された仮想的な世界(バーチャル)です。
それに対してARは、現実世界(リアル)に、仮想的な情報や物体(バーチャル)を合成します。その具体例が、このARのセッションに登壇していた、芸者東京エンターテインメント社長の田中さんが世に送り出した「電脳フィギュア ARis(アリス)」。
このデモを見たときにはビックリした。普通のPCに普通のWebカメラをつないで、このソフトを起動すると、PCの画面に表示された自分のリアルな机の上に、バーチャルなフィギュアが登場し、机の上を歩き回ってしまう。そして専用のスティックやカード(リアル)を使って、机上のフィギュアを触ったり、プレゼントを贈ったりできる。まさにリアルとバーチャルの融合。そしてそれが普通のPCとWebカメラでできてしまう。これはすごい、ということで、セッション中に早速Amazonで電脳フィギュア ARisを注文してしまったほど。
・・・と文字で書いてもなんだかよく分からないと思うので、ぜひこちらのARisのサイトにある動画をご覧下さい。
・・・と思って改めてこの動画を見たんですが、かなりエロさを前面に押し出した動画になってますね・・・。こっちのYouTube動画の方がいいかも知れません。
僕自身、IVSの前に、たまたまこちらのITmediaのインタビュー記事を読んでいたんですが、やはり実際のデモを見るまではそのすごさが分かりませんでした。
しかし、このARという先端技術自体もすごいが、そのARをフィギュアという形で製品化する田中さんのビジネスセンスもすごい(あと社名もすごい)。
このARのセッションでは、ARisの他にも、ARを研究されている慶応大学の稲見教授が、ARの様々な具体例を動画で見せてくれました。教授曰く、ARの分野では、日本は世界の最先端とのこと。ソフトウェア技術だけではなく、メカトロニクスやロボティクス等の機械的な技術も必要とされるためのようです。
こうした新しい技術により、自分たちの生活が変わっていき、そしてそこに新しいビジネスが生まれていきます。本当におもしろい。
オーシャンブリッジも、ビジネスを変える、生活を変えるような、インパクトのあるITプロダクトを、世界からどんどん発掘して展開していかねば、と思った次第。
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それにしても、これだけのイベントを毎回企画・運営している小林さんはホントにすごい。今回もお疲れさまでした!