先日書いたこちらの記事↓で、
●「クラウドやスマートフォンが職場に普及していくと、このソフトは必需品となる可能性があります。」(ソフトバンクBB様、NXPowerLiteについて)
こういうこと↓を書きました。
オーシャンブリッジは、創業当初から(というか、創業前に僕がWeb系ベンチャーの一事業部として海外製ソフトウェアの事業を統括していたころから)、ソフトバンクBBさんとはお取引がありました。でも、今回のように大規模に製品を導入いただくまでには、いろいろと紆余曲折がありました。その辺の経緯はまた改めて。
今日はその経緯について。
オーシャンブリッジがNXPowerLiteを販売開始したのは今から4年半前。普段使っている重いPowerPointファイルが劇的に軽くなるということで、ソフトバンクBBさんの社内でも当時かなり話題になったようです。いろいろな部署から販売協業のお話をたくさんいただきました。
でも、販売ではなく、社内導入となると、話は簡単に進みません。現場で個別に購入して使っていただいている方はたくさんいらっしゃったのですが、社内で大規模に導入という話には発展しません。
オーシャンブリッジの担当営業の川喜田君が中心となって、情報システム部門はもちろん、普段お世話になっている営業部門や仕入部門のみなさんにも社内導入の提案をするのですが、なかなか具体化しません。
企業へのIT導入においては、投資対効果が問題になりますが、その点では、NXPowerLiteはストレージコストの削減につながる可能性があります。もちろん、そのコスト削減効果を試算することもできます。
でも当時は、ソフトバンクさんに限らず世の中の多くの企業がIT投資を削減していた時期です。「これだけ投資すればそれ以上にコスト削減できます」という提案が通りません。投資対効果の大小に関わらず、新規のIT投資が一切認められないような状況でした。
導入を推進して下さった同社 コマース&サービス統括 CP事業推進本部 IT戦略室 室長の岩瀬さんは、インタビューの中でこう語っています。
実は最初は、社内で承認を得るのに苦労していました。予測される今後のサーバ圧迫率を元に、NXPowerLiteを導入した場合に抑えられるサーバ増設費用を算出したところ、私たちの普段のOfficeファイルの使用量ですと、NXPowerLiteを導入した方がIT支出を抑えられることは明確でした。それでも、新しいものにお金を出すことについては、なかなかGoサインが出なかったのです。
このように、岩瀬さん自身が実データに基づいてコスト削減効果を試算して下さっていて、十分な投資対効果が得られるという結論が得られていたのですが、それでも、新規のIT投資ということで認められませんでした。
この状況を打開したポイントが、ソフトバンクBBのみなさんが業務で使っているiPhoneでした。
ある日、ソフトバンクBBさんと打ち合わせをしていたとき、「社員はみんなiPhoneを使っているんだけど、外出先でメールを受信しようとしても、添付ファイルが重くて、結局ファイルが見られないんだよ・・・」というお話が出ました。
それを聞いて、僕は「その問題は、社内のPCにNXPowerLiteを導入するだけで、簡単に解決できますよ。NXPowerLiteはOutlookと連携して、送信メールの添付ファイルを自動的に軽量化してくれます。社員の方が特別な操作をする必要もなく、iPhoneでの添付ファイル受信が軽くなります」とお伝えしました。
「なるほど、それはいいかもしれない。iPhoneに絡めた導入提案だったら、社内も説得しやすいです」というお言葉をいただいた僕は、会社に戻ってすぐ、iPhoneでのメール添付ファイル受信時間がNXPowerLiteでどれだけ短縮されるかをテストしてみました。
その結果は十分にインパクトがあるものでした。NXPowerLiteを使うことで、PowerPointファイルの容量は平均して5分の1になり、iPhoneの3G回線でのダウンロード時間は平均3分の1になったのです。そして、iPhone上でのファイルの閲覧もサクサクと快適になります。
この結果をすぐに数ページの報告書にまとめて、ソフトバンクBBさんにお持ちしました。こちら↓がその報告書の一部です。これがきっかけとなり、同社内での検討が具体的に進みました。
同社の岩瀬さんは、インタビューで下記のように語っています。
コマース&サービス統括では、iPhoneやiPadが営業現場で当たり前に使われるようになってきました。これらのモバイルツールで必要な作業は全部出来てしまうため、ノートPCを持ち歩く営業担当者はほとんどいなくなりました。
ただ、多くの人が困っていたことがあります。それが「重いファイルをメール添付すると、ダウンロードに非常に時間がかかり、効率が悪くなることがある」ということでした。
NXPowerLiteで圧縮されたファイルで検証してみたところ、この点はあっさりと改善できました。このことが経営層にはインパクトを与えました。本人たち自身がiPhone、iPadを使っていてストレスを感じていたようです。私たち自身がiPhoneやiPadを普及していく役割を担っているということも加わり、1,500名へのNXPowerLiteの導入が決定しました。
このように、お客様が現実に抱えていた問題に対し、定量的な導入効果(テスト結果)とともに解決策を提示したことが、導入のきっかけになったのです。
これは、法人営業では取り立てて特別なことではありません。「ベンチャー企業の海外製プロダクトが、防衛省・自衛隊で採用されるまでの道のり。」という記事で書いたことと同様、当たり前のことです。
でも、企業向けにパッケージソフトウェアビジネスを展開している中では、標準的な提案資料を使い回してしまうことも多くあります。個々のお客様のニーズに合致した提案書を作成する手間を惜しんでしまうのです。
もちろん手間を掛けずに効率よく売れればそれはそれでいいのですが、世の中そう簡単にはいきません。特に、ある程度の規模の商談を前に進めていく場合や、新しい市場、新しいニーズに対して売り込む場合は、個別のニーズに合わせた具体的な提案は不可欠です。
今回、ソフトバンクBBさん向けに行ったテスト自体は、それほど時間がかかるものではありませんでした。せいぜい30分から1時間程度のものです。その結果をまとめた報告書も、たかだか4ページのもの。
でも、その内容が、お客様の個別具体的なニーズに合致していたからこそ、商談が前に進み、最終的に(NXPowerLite事業としては)大型の受注につながりました。そしてこのテスト報告書は、他のお客様やパートナー様への提案書や、セミナーのプレゼン資料としても活用されることになりました。一つの商談の受注に留まらず、商談機会そのものを増やすことにつながっています。
この「ちょっとした手間」をかけられるかどうか。メーカーのプロダクトアウトな視点ではなく、お客様の視点に立って、お客様を動かす提案ができるかどうか。
そしてその提案を、単発の商談に留めずに、ビジネスチャンスの拡大につなげていけるかどうか。
今後、自分自身も都度振り返るとともに、社内にもその姿勢を浸透させて行きたいと思います。
そして岩瀬さんを始めとするソフトバンクBBのみなさま、本当にありがとうございました。
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