【読んだ本】「日本語作文術」など(2011/01/24〜30)

先週読んだ本です。ブクログ上での自分用メモ付きです。
この中で特によかった本は、「お金の流れが変わった!」、「はじめての課長の教科書」、「日本の若者は不幸じゃない」、「日本語作文術」ですね。

酒井 穣
ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2008-07-15

うーん、ちょっと期待していた内容とは異なりました。ただ、「インタビューの基本テクニック」などは参考になりました。

現在のマクロ経済の見方が変わる。古典的な経済学に基づく経済政策がなぜもはや有効ではないのかがよく分かる。日本経済を建て直すための具体的な政策案も興味深い。
インテグレーティブシンキングの部に書かれている思考法に関する著者の考察が興味深い。例えば以下のポイント:

・記号としての言葉
・理性は感情に支えられている
・脳の進化
・サバイバルシンキング
・決断における「野生のカン」

フィリップ・コトラー,ヘルマワン・カルタジャヤ,イワン・セティアワン
朝日新聞出版
発売日:2010-09-07

うーん、ソーシャルもスピリチュアルもストーリーも環境問題も慈善活動もなんでもありですなあ。でも今は確かにマーケティングもそういうことを踏まえないとダメなんでしょうね。

最終章のマーケティング3.0の10の原則、特に下記については改めて意識したい。

原則1 顧客を愛し、競争相手を敬う
原則7 顧客を獲得し、つなぎとめ、成長させる−顧客を生涯にわたる顧客とみなそう。
原則8 事業はすべて「サービス業」である

酒井穣
ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2008-02-13

当初思った以上に良い本だった。きれいごとではなく、日本企業で管理職として働いていく上での「現実」を、これまで明文化されることのなかった分かりやすい「原理原則」で説明している良書。

「うーん、そうだよなあ」と思う点が多々。いくつか抜粋。


課長はよりマネジメント寄りで、経営者はよりリーダーシップ寄り

部下が「自分は会社に大切にされている」という実感を持って仕事に取り組めるかどうかという点が最も重要

お金よりも大切なのは、部下を一人の人間として気にかけ、能力だけでなく、もっと人間性に興味を示してやるということ

課長は昔ながらの家族的な方法で部下をまとめることを期待されています。

「風通しの良い企業」においては、「情報の洪水の中から、自分の必要な情報だけを抜き出す」という情報のフィルタリングが個人個人に課されている

中間管理職は、部下にルーティン・ワークを徹底的に教え込み、ルーティン・ワークから外れる例外を、すばやく発見できる仕組みを作り上げることが仕事の第一歩です。

本質的には「ルーティン・ワークから外れるような例外的な業務に対応できる柔軟性」が役職の権威を正当化する

部下をほめるスキルを身につけるために必要なのは、部下が出した成果を、その部下の能力や実績と照らし合わせて評価するという、当たり前の態度です。決して「自分ならもっとうまくやる」などと言ってはなりません。そんなこと皆がわかっているからこそ、課長は課長になれたのですから。

オフサイト・ミーティングの良さは、それぞれが肩書きの異なる社員である前に、魅力的な人間であるという、当たり前のことを思い出させてくれること

キーマンの本当の意味は「オフィシャルには決定権の及ばない数多くの議題に対し、影響力を発揮することの炊けている人」ということ

Cクラス社員にもこなせる仕事を、課長が見つけ出してきて与える

部下がキャリアアップを理由に去っていくのは、本音を言うことでギクシャクする形で退職するのを嫌っている可能性が高いのです。部下が会社を辞めていくとき、それはまさに課長が部下からクビを宣告されたようなものなのです。

典型的なBクラス社員(Aクラス社員ほどには優秀でない普通の人材)は、いつでも「やったほうが良い仕事」ばかりを探してきてはなんだか忙しくしているものです。そして「やらなければならない仕事」はすでにAクラス社員に奪われてしまっています。本当は新しいスキルの勉強もしなければならないはずなのに、「忙しい自分」に酔っていることも多く、そんな忙しさに追われつつ昇進を逃すのです。

▼このブログでの書評記事はこちら
【書評】はじめての課長の教科書

福嶋 麻衣子,いしたに まさき
ソフトバンククリエイティブ
発売日:2011-01-19

アキバ系の若者について書いた本だと思って読み始めたのだが全然違った。現代の若者全般を理解する上で非常に参考になる本。「不況ネイティブ」な世代の考え方やその背景がよく分かる。

以下、ポイントを抜粋。

生まれたときからずっと不況だった世代のことを「不況ネイティブ」と呼んでもいいと思います。

不況の時期に当たり前のように育った若者たちは身の丈にあった人生設計、すなわちイメージしやすい1年後、2年後のことを考えて動くようになっていると思います。不透明な10年後のことを考えても意味がない、ならば確実な1年後のkとを考えていたほうがいい。それが今の若者たちの考え方なのです。

これだけ社会が不安定になれば、10年、20年も同じ会社で働きつづけようと考える若者が減っていくのは当然だと思います。

「会社に就職して、一生会社のために働きつづける」ことを最初から馬鹿にしている部分があります。

彼らは現実味のない一攫千金を望んでいるのではなく、想像しうる小さな幸せを望んでいるのです。

会社や家庭に帰ることができなくなった若者たちは、新しい帰る場所、居場所としてインターネットを選びました。インターネットの大型匿名掲示板「2ちゃんねる」には多くの常連投稿者がいますが、彼らのことを”住人”と呼び習わすのは象徴的だと思います。

芸大では、売れなくても自分は未来あるアーティストだからそれでいいという風潮にいつも私は苛立っていました。

中身はなくても表面ばかり取り繕う日本の現代アート界の現状に比べて、秋葉原の若い子たちのほうがよほどかっこいい。

田原総一朗さんがディアステージにお越しになったとき、私は「ここは村です。お客さんたちのヲタ芸は、いわば村の踊りなんです」と説明しました。”村”というのは、この本で言うところの”居場所”のことです。それに対して田原さんはツイッターで「村という言葉に僕は見事にはまった」と書いてくれました。

「新横浜ラーメン博物館」、忍者のテーマパーク的レストラン「NINJA」、などを手がけた空間プロデューサーの本。それらのプロジェクトをどう発想し具体化していったかのプロセスが詳しく書かれている。

内容もそうだが、それぞれのプロジェクトのために書き起こされた手書きのイラストが多数納められており、それらを見るだけでも楽しい。

それにしてもこうしたアイディアの発想力、それを膨らませる想像力、具体的なプランに落とし込む実現力はすごい。この人は天才・奇才ですね。

文章を書くための技術の本というよりも、書くこと、考えることに関する著者の論考、批評、哲学的考察が書かれた本。
野内 良三
中央公論新社
発売日:2010-05-25

これは良書ですね。「日本語の作文技術」(本多勝一)に並ぶ、「読み手にとって分かりやすい日本語の文章を書くための技術」が解説されています。(タイトルも似ていますね)

こちらは一つ一つの「文章」だけではなく、「段落」についても論が展開されています。

オーシャンブリッジの必読書にしたい本です。

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