前回の闘病記からの続きです。
◼︎2013年8月19日(月)。入院99日目。抗がん剤治療開始から91日目。
久しぶりの外泊から病院に戻った翌日。早速、次の日から始まる抗がん剤治療のために、CVカテーテルを首の静脈に入れてもらいました。相変わらずMY先生は手際が良かったです。
この日は映画は「ワイルドスピード」と「黙秘」を見ました。
また、Slingbox経由で、自宅のブルーレイレコーダーで録画したサッカーのバルセロナの試合もiPad miniで見ました。モバイルWifiルーター経由でしたが、意外と画質も劣化なく、止まることもなく、快適に見られました。
◼︎2013年8月20日(火)。入院100日目。抗がん剤治療開始から92日目。
この日、予定通り抗がん剤治療が再開されました。Hyper-CVAD/MA療法の4コース目のMA療法です。早速、メソトレキセートの点滴から始まりました(冒頭写真)。
また髄注もやってもらいました。背骨にブスリと注射針を刺され、脳脊髄液を採られて抗がん剤を注入されるというアレです(笑)。でもこちらも相変わらず手際のいいMY先生のお陰で、最初の麻酔の注射以外は痛くなかったです。
この日、大学時代の先輩のIさんがお見舞いに来てくださいました。しばらく前に自分の会社を株式公開した、上場企業の社長です。病院食に精神的アレルギーを起こして差し入れに頼るようになった僕を気遣い、なんと1万円近くするミート矢澤のお弁当を持ってきてくれました。さすが上場企業の社長はやることが違います!でもIさんは学生時代からすでにスケールが違いましたけどね(笑)。
Iさんとは、以前すごい偶然がありました。社会人2年目のアクセンチュア時代にアムステルダム勤務となった僕が、年末年始休暇で初めて帰国する際、ロンドンのヒースロー空港で飛行機を乗り換える時に、成田便のゲートで偶然Iさんに会ったのです。当時総合商社に勤務していたIさんはヨーロッパ出張から帰国するところでした。僕と同じ便でしたが、Iさんはビジネスクラス、僕はエコノミークラスということで、搭乗ゲートで別れました(笑)。
成田に着き、飛行機を降りてからIさんと一緒になり、バゲージクレームでスーツケースが出てくるのを待ちながら、二人で話をしていました。話し込んでいるうちに、あれっと気がつくと、周囲には他の乗客はおらず、ベルトコンベアーにはもうカバンもありません。係員の人に調べてもらったところ、なんと僕とIさんの荷物だけ、ヒースロー空港で積み替えの手違いがあったとのこと。なぜ僕らの荷物だけ(笑)。これもすごい偶然。しょうがないので2人でスーツケースの宅配手続きをして、到着ロビーに出たら、迎えに来てくれていた家内(当時はまだ結婚前)が、「なんでIさんと一緒なの?!」とビックリしていました(笑)。
そんなこともありましたよね、と病室でIさんと話していたら、さらにもう一つの偶然があることが分かりました。なんとIさんは、ヒースロー空港で僕たちが偶然会う直前に、骨髄バンクにドナー登録していたとのこと。それから20年経って、まさか後輩の僕が白血病になるとは。2人で驚きました。
それ以外にも、Iさんとは、大学の先輩後輩として、そして同じ経営者として、いろいろな話をして、アドバイスをいただきました。こんなお話が印象に残っています。
経営でも病気でも、目の前の状況をゲームとして捉えて、勝ち方を考え、そして勝つ。いろいろと考えずに、目の前の状況に集中する。力まずに勝負する。
ちょうどそのころ僕が考えたり本で読んだりしていたこと(将来のことより「いまここ」に集中するのが大事)とも合致するお言葉で、「やっぱりそうだよな!」と勇気付けられたのを覚えています。
Iさんが帰られてから、ミート矢澤のお弁当をいただきました。サーロインステーキもシャトーブリアンステーキもハンバーグもものすごくおいしくて、ビックリしました。まさか病院でこんなにおいしいものが食べられるとは思いませんでした。「本当においしいものを食べた!」という満足感がすごいお弁当でした。Iさん、改めてありがとうございました。
この日の映画は「人生の特等席」と「マッチスティック・メン」でした。