前回の闘病記からの続きです。
◼︎2013年10月6日(日)。入院147日目。抗がん剤治療開始から139日目。
この日も引き続き朝から熱があり37.4度。ただ前日までの38度超からは下がっていたため、解熱剤のカロナールは飲まずに様子を見ることに。
またこの日は抗がん剤のオンコビンを注射しました。この注射で、抗がん剤治療(Hyper-CVAD/MA療法)の5コース目(全8コース予定)のHyper-CVAD療法がようやく終わりました。
ただ、一週間前にも注射したオンコビンの副作用による便秘を防ぐために飲んでいた下剤の影響で、数日前から逆に下痢になっていました。
一番最初のHyper-CVAD療法の時、ひどい便秘で腸も胃も動かなくなり、しばらく物が全く食べられなくなり、また薬も水も飲めなくなってしまい、体重が毎日1キロずつ減っていき、大変な思いをしました。
その辛い経験を繰り返さないため、下剤の量を調整しながら臨んだ今回のコースでしたが、調整がうまくいかず、逆に下痢になってしまいました。
そんな中で、副作用で便秘を起こすオンコビンを一週間ぶりに注射したため、これで逆に下痢が止まれば・・・と考えていました。
担当医のMY先生とも、以下のような話をしました。
下痢については、オンコビンも注射したので、しばらく様子を見ましょう。昨日皮膚科で診断を受けた毛包炎については、良くなってきているようなので、このまま抗生剤で良くなるでしょう。熱もようやく落ち着きましたね。
この日も夕飯前に、少しでも足の筋肉をつけるために廊下を数往復しました。
病室に戻ると仲の良い看護師のWさんが点滴を外しに来ました。その際、Wさんから「高山さん、がんばって廊下を歩いてますね」と言われたので、こう答えました。
僕は廊下を歩いているんじゃなくて、「病気を治して娘の二十歳のお誕生日を家族三人でお祝いする」という目標達成に続く道を歩いてるんです。
本気でそう考えながら歩いていました。
この頃は、治療方針に対する迷いも消え、治療も後半戦に差し掛かる中で、以下のように考えるようになっていました。
生きる目標が定まり、その目標達成への確信が持てたら、後は余計な心配をせず、毎日できることをやっていくだけ。歩いたり、食べたり。
明日以降の病状のこと、退院後の生活のこと、会社のことなど、不安なことや課題はたくさんあるけど、それは今ベッドの上で心配してもしょうがない。だから今は、今ここでできることに集中する。
一日一日、目の前のできることを一所懸命やっていくことが目標達成に確実につながっている。
そんな話をした後、Wさんにまた言いました。
だから、僕は廊下を歩いているんじゃなくて、「病気を治して娘の二十歳のお誕生日を家族三人でお祝いする」という目標達成に続く道を歩いてるんです。
Wさんは涙を流しながら、僕の話を聞いてくれました。そして、
そんな高山さんの背中を応援しています。
と言ってくださいました。
Wさんは、僕の退院後、虎の門病院を退職し、公衆衛生学を学ぶために海外に留学しました。今でもたまにメールで連絡を取り合っています。辛い時期に心身ともに助けていただいた、大切な、そして忘れられない看護師さんの一人です。
高山さん、こんにちは。
看護師だったWさんは、高山さんの「目標達成に続く道を歩いてるんです」という言葉に、逆に背中を押され、きっと前からやりたいと思っていた公衆衛生学を学ぶために海外留学することを決断した、と思います。
Wさんは高山さんに「高山さんの背中を応援しています」と語り、高山さんの言葉に、「応援されている」と感じたのだ、と思います。
「情けは人の為ならず」
この言葉の本質を噛みしめています。
藤巻さん、
そうですね、Wさんには心身ともに助けられたので、僕自身もWさんのお役に立ってたのであればうれしいです。