娘の希望や家内の仕事の都合もあり、前日はお出かけしてお祝いし、当日は自宅でお祝いしました。
5年前、悪性脳腫瘍が見つかったときに、人生の目標を「娘の二十歳の誕生日に、娘と家内と三人でおいしいお酒で乾杯する」ことに決めました。
当時は娘はまだ1歳でした。かわいい娘がこれからもっとかわいく成長していく姿をどうしても見たい。あと19年、なんとしても生きたい。心の底からそう思いました。その意志が、悪性脳腫瘍と、そしてその2年後の白血病・悪性リンパ腫との闘いの基盤となりました。
あれから5年経ち、1歳だった娘も6歳になりました。来月から小学生です。これを言うといつも娘に怒られますが(笑)、本当に「あっという間」ですね。
そして、最初は「あと19年」だった僕の目標も、「あと14年」となりました。早いものです。
毎年、娘の誕生日を迎え、自分の中でこの目標達成までのカウントダウンを行うと、目標まで着実に一歩一歩近づいていることをリアルに実感できます。
今回も、病気が見つかった当時のことを思い出し、「あと19年とあと14年ではぜんぜん違うなあ」とうれしくなりました。だって、当初目標の4分の1以上がすでに経過したわけですから。
一年前の記事(バルバッコア・グリルでのお祝い)にも同じようなことを書きましたが、娘が生まれてからのこの6年でも、2回の病気を含め、いろいろなことがありました。治療はまだ続いていますが(白血病・悪性リンパ腫の維持療法)、最近はようやく海外旅行に出かけられるまでに体力も回復してきました。数ヶ月前の自分の状態を考えると信じられません。
以前よりも動けるようになった分、旅行を含めて遠くまで出かけたり、取材や打ち合わせなどで人とお会いしたりする機会が以前よりも増えています。それはそれでうれしいことなのですが、そのときがんばった疲れが、後からいろいろなかたちで出てきてしまいます。例えば視覚障害がひどくなって、視野の左下だけではなく中心部も見えにくくなったり、帯状疱疹後神経痛の痛みが強くなったりします。飲んでいる薬の影響もあるのか、めまいやふらつきが起きたりもします。
特に人と会って長い時間話をすると、相手の話を聞いて理解し、それを自分の経験と関連させて何を伝えたいかを考え、その考えを一連の話として組み立てて分かりやすい言葉で表現する、という複雑な処理のために、脳に負担がかかるようで、その後、視覚障害がひどくなりがちです。外を歩いているときに急に前が見えにくくなると危ないので、改めて気をつけなければ、と思っています。
そういう意味で、一日一日をなんとか精一杯生きているという状況は退院当初と同じなのですが、その一日の中身の充実度合いは違います。あの頃の「ただとにかく生きている」という状態ではなく、いろいろと「活動」しているわけですから。
こうして精一杯の一日一日を積み重ねていった先に、娘の二十歳の誕生日があります。
6歳になったばかりの娘は、今朝、「早く大人になりたいなあ!」なんて言っていました。
僕も「そうだなあ、早く二十歳の誕生日の乾杯をしたいなあ」と思いつつ、その一方で「ゆっくり大きくなればいいよ」とも思います。
だって、娘が成長していく過程をしっかり見守りながら、一緒の時間を楽しんでいきたいですから。
「あっという間」に過ぎ去ってしまうには、あまりにももったいない時間です。