移植コーディネーターの存在価値の大きさ/臍帯血に命名「のりこちゃん」

昨日は何かと忙しい1日でした。
造血幹細胞移植(同種移植)をお考えの方へ  造血幹細胞移植の経過と日常生活について(移植パンフレット)


朝、外泊を終え、家内と二人でペットボトルや着替えの入ったカバンを持って電車と徒歩で虎の門病院へ。治療を控え、少しでも体力をつけようと、タクシーではなく電車を選択しました。朝の通勤ラッシュ時の電車や駅は相変わらずすごいですね。溜池山王駅で、仕事に向かう家内と別れて僕だけ電車を降り、虎の門病院へ。途中のコンビニでお昼のカレーを購入。
病室に着いて、テーブルを見てビックリ。先日までお隣さんだったKさんが、僕の外泊中に退院されたようで、メッセージつきの鳩サブレーを置いていってくださいました。短い期間で挨拶くらいしかしていなかったのに、ありがたいことです。
荷物を片付けていると、ここ数日待っていた歯科の診察に呼ばれました。虫歯や歯肉炎などがあると、また日頃の歯磨きが不十分だと、移植治療の中で細菌による感染症や口内炎、咽頭痛などの原因となります。そのため気になる歯は移植治療開始前に治療するなり抜くなりしないといけません。僕は入院前から治療中の歯も残ってしまっていたので、歯科の先生に説明。本日か明日、治療に入ります。そのためにレントゲンも撮りました。
歯科の診察が終わって部屋に戻り、ようやく一休み。買ってきたカレーを食べ、白血病や移植に関する本を読んでいたら、いつの間にかうとうとしてしまい、目が覚めたときにはリハビリの開始時間を過ぎていました。焦ってB1Fのリハビリ室へ。今日は足の筋力トレーニング、階段昇降(2階分)に加え、エアロバイクもやりました。
どうも理学療法士のSさんによると、僕の歩き方がおかしかったり左右のバランスが悪かったりするのは、前回3年前の7ヶ月の入院による筋力低下と、当時の抗がん剤の副作用による足裏の痺れ、つまり足裏の感覚入力が原因では、とのこと。
30分ほどのリハビリでしたが、朝の電車移動もあったので疲れて汗をかきました。でも気持ちのいい汗。
実はこのリハビリに遅刻気味で向かっている途中、ある女性から「高山さんですか?」とエレベーターホールで声をかけられました。お話によると、僕のブログがきっかけで娘さんを虎の門病院へ転院させて、移植治療を受けられたとのこと。急いでいたのでお名前を聞くのも忘れてしまったのですが、うれいしい出会いでした。もしこれをご覧になっていましたら、6階に入院していますので、ナースステーションで病室を確認してお越しください!
リハビリが終わると急いで病室に戻り、別室で移植コーディネーターのNさんからの説明を家内と聞きました。
まず、僕の血液のHLA検査の結果、それに合致する臍帯血の数、その中で最も好条件と考えられる臍帯血の候補についての説明を聞きました。DNA型のHLA型のレベルで6座中4座がマッチし、僕の体重(55Kg)に対して臍帯血量や細胞数が十分にあり、しかも採取されたのが2016年という新鮮な臍帯血が第一候補でした。
近畿地方で2016年に生まれたA型の女の子の臍帯血とのこと。臍帯血を臍帯血バンクに提供してくださったお母さんと女の子、本当にありがとうございます。この臍帯血が、僕が生き延びるための希望です。無駄にしないよう、命をつなげるよう、何としてでも治療を乗り越え、病気を治します。
ちなみに最近の臍帯血移植では、HLA型は6座フルマッチではなく。あえて4座のみがマッチするものを選び、免疫反応によるGVL効果、つまり移植した臍帯血が、前処置の抗がん剤治療後も残っているがん細胞を攻撃し、病気を治す効果を期待するとのこと。当然GVHD(移植した臍帯血細胞が僕の体を異物として攻撃する免疫反応)は出ますが、そこは免疫抑制剤のさじ加減で、GVHDの辛い症状を抑えるか、長期的なGVL効果を期待するかを差配するのが先生の腕の見せ所ということになります。臍帯血移植治療の実績が世界一である虎の門病院の谷口先生以下、山本先生、湯浅先生に期待です。
移植する臍帯血そのものの説明のあとは、治療の経過の説明です。こちらの絵を使って、無菌室への移動、前処置開始、移植、生着、外泊、退院に到るまでに、どのような薬が使われ、どのような症状が出て、その予防や軽減に患者が何ができるのかを非常に詳しく丁寧に説明していただきました。
造血幹細胞移植(同種移植)をお考えの方へ  造血幹細胞移植の経過と日常生活について(移植パンフレット)
ここではこの抗がん剤で何日後から下痢になる、この抗がん剤では咽頭炎になるからうがいが重要、移植後は熱や倦怠感、下痢や吐き気があるが、少しでもベッドから起きて生活し、口からものを食べることが大切なことなど。
特に僕ががんばろうと思ったのは、以下の三点です。
●少しでも口から食べること。
ゼリーでもプリンでも何でもいい。栄養は点滴で入れているので、口から食べるもので胃腸を動かすことが大事で、それが腸からの感染症の予防につながる。
●うがい、歯磨き、手洗い
口の中に細菌があると口内炎や咽頭炎の原因になり、ものが食べられなくなる。歯磨きは柔らかい歯ブラシで左手を使って優しく磨くくらい。歯茎を傷つけると口内炎の原因になるため。乾燥防止、つまり感染防止のためにうがいも頻繁にすることが重要。
●リハビリ、少しでも起きて過ごす
寝てばかりいると、体力、筋力の低下だけでなく、肺が動きにくくなり肺の障害も出てくる恐れ。リハビリで体力をできるだけ維持することが早い回復、早い日常生活復帰につながる。
こうした日々の地道な努力を患者自身ががんばれるかが、副作用や感染症の予防にもつながり、早期退院にもつながるということです。
Nさんの話を一通り聞いて、治療に対する不安が大幅に軽減されたとともに、治療をがんばろう!という気持ちになりました。
先日湯浅先生が治療方針の説明の中で、「移植コーディネーターのNさんは強力な助っ人で、退院後も患者さんをサポートしてくれますから!」と言っていましたが、その意味がよく分かりました。医師とは違う立場で、年間100人もの移植患者さんの治療前から退院後までフォローしているわけですからね。
実際にお会いして長時間お話しして、Nさんは、本当に頼れる、ともに治療を乗り越えていける仲間、という感じでした。このNさんの説明を聞くと聞かないとでは、移植治療に臨む不安の大きさや治療をがんばろうという気力の強さが全然違ってくると思いました。
またNさんからの情報で、臍帯血移植の患者さんの中には、移植された臍帯血に名前をつけて呼びかけている方がいるとのこと。「私の臓器は攻撃しないで!」とか「がん細胞をやっつけて!」とか話しかけるようです。
実は僕もここ最近の瞑想とアファメーション、イメージ療法(本「治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ」のP.195)の中で、似たようなことを始めていました。でも僕は「臍帯血さん」と声をかけていたので、これからは名前で呼ぼうと思います(まだ移植前ですが)。家内と相談した結果、女の子の臍帯血なので「のりこちゃん」です。
移植されたのりこちゃんががんばって、白血病細胞を全てやっつけ、そして僕の臓器への攻撃はお手柔らかにしてくれるよう、移植した瞬間から話しかけて仲良くやっていきたいと思います。

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