前回の更新から2週間、いろいろあったのですが、なかなか体調面でも精神面でも近況報告ができませんでした。
▼臍帯血移植から9日目になりました(臍帯血移植 day-9)/下痢と高熱|オーシャンブリッジ高山のブログ(2017/4/23)
でもここ数日、ようやく体調が落ち着いてきたことと、大切なご報告があり、久しぶりにブログを更新しています。
前回の更新以降も、臍帯血移植に伴う様々な症状(生着前症候群)に悩まされていました。下痢や高熱の次は、激しい胃痛。キリで穴を開けられるように「キリキリ痛い」のではなく、電動ドリルを突き立てられたかのように「ギュリギュリ痛い」という激痛。先生によると、生着前の免疫反応で胃の粘膜が障害されているとのこと。胃薬や痛み止めの麻薬、そしてステロイドの点滴で対応してもらい、少しずつ楽になりました。
また全身の皮疹とそれに伴うかゆみもあります。これも日によって、足や腕に皮疹ができて痒かったり、手のひらが真っ赤になって痛くなったり、顔が真っ赤になったり、胸や背中が痒くなったりと、いろいろ状況が変わります。それぞれ適したステロイドの軟膏で対応します。
それらが落ち着くと、今度は4年前の前回入院中にかかった帯状疱疹後神経痛の痛みが激しくなってきました。こちらは痛くなると痛み止めの麻薬の点滴の早送りで対応します。
4/24頃(day-10)には白血球が増えてきました。その後、若干の上下をしつつ、少しずつ増えていきます。
先生は、白血球、特に好中球が回復してくると、胃腸の粘膜も修復されてくるので、下痢や胃の痛みも治まってくると思いますよ、とのこと。実際、白血球が回復してくるのに伴い、下痢は以前より楽になり、胃痛も頻度が少なくなり、痛みの度合いも軽くなってきました。
そうすると、少しずつ食欲が出て、口からものが食べられるようになってきます。食べると胃が痛くなる、では食べる気になりませんからね。それでも最初のうちは食べられるのはプリンやゼリーでしたが、少しずつ固形物も口にできるようになっていきました。ただ、相変わらず病院食アレルギーは抜けませんが。。。
そして、昨日の出来事。
昨日は、僕の46歳の誕生日でした。Facebookなどでたくさんのお祝いメッセージをいただきました。一つ一つのメッセージ、全て拝読しております。本当にありがとうございます。
その昨日は、家内が一人でお見舞いに来てくれる予定でした。午後、予定の時間に病室に顔を出した家内は、「大きなお祝いの品をいただいてデイルーム(見舞客用待合ロビー)に置いてあるので来てくれる?」とのこと。一緒にデイルームに行ってみると、なんと娘が座っていました。完全に予想外だったので驚きました。
娘と直接会うのは、移植前の4月9日にお見舞いに来てくれたとき以来、約一ヶ月ぶりです。無菌病棟での治療開始後は、移植した臍帯血が生着して免疫力が回復するまでは、娘のお見舞いは我慢しようと家内と話していました。
でも家内は、せっかくの誕生日なので、僕を娘に会わせたい、娘と病院までは来て、最悪、看護師さんに止められてガラス越しに会うことになってもいいから、娘を連れて来てあげよう、と考えてくれました。そして幸いなことに、看護師さんからは「デイルームでの面会なら大丈夫ですよ」と言っていただきました。
娘は、手作りのお誕生日カードを持って来てくれました。
おもいをこめてつくったよ
おたんじょう日おめでとう
はやくなおって
どこでもドアでいっしょにかえろう。
これだけでも涙が出るほどうれしかったのですが、さらに、二人はすごいプレゼントを持って来てくれました。プレゼントを贈ってくださったのは、東日本大震災のときに帰宅難民となり、一晩の宿を提供いただいて以来、交流が続いている新宿の京王百貨店さん。
▼2011.3.11のこと|オーシャンブリッジ高山のブログ
▼読売新聞の震災特集記事「巨大地震の弱点」に京王百貨店で夜を明かした経験が掲載(2016年2月22日朝刊)|オーシャンブリッジ高山のブログ
京王百貨店さんは、今回の僕の病気のことを心配し、なんと百貨店内の写真スタジオでの娘の撮影をプレゼントしてくださったのです(冒頭写真)。
これにも驚きました。東日本大震災の日、お世話になったのはこちらなのに、こんな素敵なプレゼントを、このタイミングで用意してくださるとは・・・。感激してしまいました。
この写真を見ながら家族で話していると、担当医の湯浅先生がデイルームに来てくれました。血液検査の結果を持って。そう、実はこの日、白血球の数が1,100となり、生着基準の1,000を超えたのです!
厳密には、白血球が1,000/マイクロリットルを超え、かつ白血球内の好中球が500/マイクロリットルを超えた日が3日続いたときに、その1日目が生着日となります。
昨日は連休中だったため、血液検査の範囲が限定されていて、白血球の値は見られても、好中球の値までは検査結果に出てきませんでした。
だから正確には、明日の血液検査で好中球の値を確認する必要があります(今日も連休中なので血液検査が入っていません)。ただ、湯浅先生曰く、「これまでの好中球の増加傾向などから判断して、今日(5月6日)が生着日になると思いますよ」とのこと。
先生のこの言葉には家族で喜びました。生着したことももちろんうれしいのですが、移植治療で最も重要な節目であり目標でありマイルストーンである生着日が、自分の誕生日と同じになったのです!これも単なる偶然とは思えません。治るというシナリオの一部なのでしょう。
臍帯血移植の場合、生着までの期間は、移植日から3〜4週間と言われています。僕の場合、移植から22日目、つまり3週間と1日でしたので、少し早めだったかなという感じです。臍帯血の元気がいいようです。
ということで、うれしいサプライズがいっぱいの、46歳の誕生日となりました。
でも、生着したことは一安心ですが、移植治療での最大の山であるGVHDとの戦いは、生着したこれから始まります。
また、致死的な合併症である肝中心静脈閉塞症(VOD)や突発性肺炎症候群(IPS)、さらに記憶力障害を起こすウイルス性の脳炎などの合併症のリスクもまだまだ続きます。
でも、何が起きてもこれまで通り、先生に逐次症状を説明して適切な対応を取っていただければ、どんな苦難も乗り越えていけると、今は思えるようになりました。
これからも一つ一つ乗り越えて、最終的には急性骨髄性白血病そのものを乗り越えます。そして家族の待つ家に帰り、平穏な生活を取り戻します。