3年前の4月14日、僕は急性骨髄性白血病を治すため、さい帯血移植を受けました。
さい帯血移植では、赤ちゃんが生まれたときのへその緒に入っている血液(さい帯血)が保管されているさい帯血バンクから、僕の白血球のタイプにマッチするさい帯血をいただきました。
そのさい帯血を、注射(輸注)で僕の体の中に入れてもらいました。
こうして移植したさい帯血が、無事に僕の骨髄にたどり着いて、新しい血液を作り始めてくれたお陰で、僕は今も生きています。
僕がいただいたさい帯血は、近畿地方で2016年に生まれた女の子のものです。それ以上のことは知ることができません。
だから、僕の体の中には、今年4歳になるこの女の子と同じ血が流れています。もともとB型だった僕の血液型は、その女の子と同じA型に変わりつつあります。
移植患者さんはよく、移植日のことを、「第2の誕生日」と言います。
ドナーさんからいただいた造血幹細胞(さい帯血や骨髄)により、生まれ変わったということ。
新たに生を得たということ。
「第2の誕生日」という言葉には、そういう文字通りの意味に加え、直接伝えることはかなわない、ドナーさんへの感謝の思いが込められているのだと思います。
今年の僕の第2の誕生日は、おとといの2020年4月14日でした。
その日の晩は、家族がサプライズでお祝いしてくれました。
夕食後、洗面所に行って戻ってきたら、リビングの灯りが消えています。
ドアを開けて入ったら、ろうそくに火が灯ったケーキに出迎えられました。
ろうそくはもちろん3本です。
移植からまる3年が経ちました。
家族3人でケーキを食べたあと、みんなで西の方角に頭を下げて、近畿地方のどこかに住む4歳の女の子と、そのお母さんに、さい帯血をいただいたこと、そのお陰でいま、自分が生きていられることを、感謝しました。
来年も平穏に第2の誕生日が迎えられますように。