先日、脳腫瘍の定期検査で東京女子医科大学病院に行ってきました。
いつものMRIと脳神経外科の村垣教授の診察です。
(左上が前回2001年5月のMRI画像、それ以外が今回2021年8月のMRI画像)
診察にて
今回は、手術からまる10年経ってから、初めての村垣先生の診察です。
診察室では、「初めて先生にお会いしてからもう10年経つんですね」とひとしきり思い出話。
そして、この日の検査の結果の説明です。
MRIに写っていた変化
MRI画像を見ると、前回の検査で見つかった異常が、また変化していることが分かりました。
前回5月の検査(下記リンク)では、それまでになかった豆粒のようなものが白く写っていました。
▼脳のMRI画像にまたもや新たな異変が|オーシャンブリッジ高山のブログ
今回のMRI検査では、この豆粒の色が、白から黒に変わっていました。
前回の画像と今回の画像の比較
本記事冒頭の4枚のMRI画像のうち、左上が前回5月の画像で、それ以外の3枚が今回8月の画像です。
それぞれ、赤い矢印の先が、前回見つかった豆粒です。
左上の前回の画像では、この豆粒は白かったのですが、右下の今回の画像では、黒くなっています。
先生によると、この黒い色は血液で、白い色は体液とのこと。
そうすると、前回の検査までに体液が溜まった豆粒のような袋ができていて、その後、今回8月の検査までにそのあたりで出血があって、体液が血液に置き替わり、それで白から黒に変化したと考えられます。
脳内出血です。
豆粒の下の大きな袋
画像でも分かりますが、この豆粒のすぐ下には、昨年7月の検査(下記リンク)で見つかった大きな袋があります。
▼脳腫瘍のMRI画像に写っていた異変|オーシャンブリッジ高山のブログ
ここは手術で脳腫瘍を摘出した跡の穴です。そこに術後は体液が溜まっていたのですが、その穴の中に、大きな袋状の膜ができて、そこに体液が溜まっているということでした。
冒頭の画像の左上と右下をよく見ると、この大きな袋の中身は上3分の2が白く、下3分の1が黒くなっています。つまりこの大きな袋の中には体液と血液が入っていて、体液より重い(比重が高い)血液が下に溜まっているようです。
この体液と血液に満たされた大きな袋に隣接する形で豆粒のような袋ができて、最初は体液で満たされていたのが後に出血があり、血液に置き換わった、ということになるようです。
脳内出血の原因は?
この大きな袋と小さな豆粒については、これまでの検査では、脳腫瘍の再発など、腫瘍と関係するものではないとのことです。実際、今回の造影MRIでも、腫瘍は造影されておらず、画像に腫瘍を疑う病変は写っていません。
これは腫瘍のような脳神経系の問題というより、脳血管系の問題とのことです。
このあたりの部位は、手術で腫瘍を摘出しただけでなく、その後再発を防ぐために放射線も当てています。
また、脳腫瘍の術後の放射線治療や化学療法に加え、悪性リンパ腫の化学療法や、白血病のさい帯血移植などで、大量の抗がん剤治療も受けています。
恐らくそうした放射線や抗がん剤の影響により脳の血管にこうした異常(血管がもろくなって出血するなど)が現れているのではないか、というのが村垣先生の所見です。
放射線や抗がん剤の晩期の副作用ということになりますね。
今後は経過観察
この脳内出血については、幸い、今のところすぐに何か治療が必要ということはないようです。
ただ、慎重に経過観察していったほうが安全ということで、通常は3ヶ月おきに受けているMRI検査の頻度を当面は増やし、1ヶ月後の9月と3ヶ月後の11月にMRIの予約を入れてもらいました。
血管系の異常とはいえ、その周辺で腫瘍の再発があるかもしれませんので、これまで以上にしっかり検査していきます。
なお、脳内出血についていろいろ調べてみると、一般的に原因の多くは高血圧のようですが、僕は高血圧ではありません。
逆に低血圧で、入院すると看護師さんによく「血圧低めですか?」と聞かれるタイプです(笑)。
術後長期生存者は手探り
村垣先生は言っていました。
手術から10年から15年も経つと、今回の高山さんのように、いろいろと異常が出てくる患者さんはいます。患者さんごとに、その都度、悩みながら診療しています。
このように、以前は治らなかった、つまり長期生存が難しかった病気(グリオーマなど)が、治るようになったからこそ出てくる異変ということで、脳腫瘍のような「病気そのもの」の治療と異なり、治療法が研究され確立されているというわけではなさそうです。
病気そのものが治った後に残る晩期副作用への対応という課題ですね。
僕自身も、今回の脳出血以外にも、今後また別の異常が見つかるかもしれません。
実際、昨年には脳梗塞も見つかっています。(下記リンク。その後、脳梗塞は消えてしまいました)
▼MRIで脳梗塞が見つかる|オーシャンブリッジ高山のブログ
こうした病変が現れても、一つ一つ先生と相談しながら適切に判断し、対応していくことで、今後もできるだけ長く生きていきたいと思います。
少なくとも娘の二十歳の誕生日までは。
そして長期生存した結果として、脳腫瘍の術後の晩期副作用の治療法の検討にも、多少なりとも貢献できればいいなと思います。